アトピー性皮膚炎の治療法・改善法
必ず治る事を信じて、体質改善をしていきましょう
アトピー性皮膚炎は、治ったかと思えば、また症状が出るなど
まるで果てのない戦いのようです。
しかし、子供のアトピー性皮膚炎の場合は多くが思春期までに治癒します。
症状が出た時はつらいですが、希望を捨てずに頑張りましょう。
[アトピー性皮膚炎とは?]
「アトピー」という言葉は、ギリシャ語の「アトピア」から来ていますが、「不思議な、奇妙な」という意味です。
この言葉が示すように「アトピー性皮膚炎」の全体像については、まだはっきりと解明されていません。しかし、アレルギー体質に何らかの刺激が加わって、痒みを伴う皮膚疾患が生じる事はわかっています。
「アトピー性皮膚炎」にかかる人の約8割は5歳までの幼児期に発症しますが、10歳くらいには皮膚に抵抗力がついてくるため、多くは自然治癒します。
しかし、約1割の人はその後も症状が残ったり、近年では、青年期や壮年期、老年期になって発症する人も増えています。
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アトピー性皮膚炎の症状
満1歳までの乳児は2ヶ月以上、それ以上の年齢では6ヶ月以上症状が続く場合、アトピー性皮膚炎と診断されます。
年齢別によるアトピー性皮膚炎の主な症状は次のようになります。
◆乳児期
アトピー性皮膚炎は一般的に生後3~6ヶ月頃から多く発症します。
顔面や頭部に赤い発疹(紅斑)や盛り上がった発疹(丘疹)が現れ、耳や首へと広がって行きます。
この時期の湿疹は「乳児湿疹」と混同される場合もあります。
◆幼児期
顔に赤斑が出たり、消えたりしますが、次第に顔の症状は軽くなってきます。
しかし、身体の皮膚が乾燥してザラザラし、耳たぶの下方が裂けることもあります。
かゆくてかきむしると、じくじくした湿潤性の湿疹になります。
◆学童期
乾燥してザラザラした皮膚に赤斑が現れます。特に肘の内側、膝の裏側など、関節の内側を中心に湿疹ができます。
10歳くらいになると、アトピー性皮膚炎の患者さんの約9割は次第に症状が治まり、自然治癒します。
◆青年期以降
青年期以降は広範囲に渡り、慢性湿疹の症状を呈します。皮膚が乾燥し、次第に厚くゴワゴワになり、顔や身体が赤くなったり、部分的に色素沈着して、黒ずむ事があります。
近年では、幼児期や学童期に異常がなくても、青年期や壮年期、老年期になって発症する人も増えています。
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アトピー性皮膚炎の原因
◆アレルゲンが体内に入る
体内に、アレルゲン(アレルギーの原因物質)が入ることにより、発症します。
アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンには、ハウスダスト、ダニ、花粉、カビ、動物の毛、鳥の糞、食品、洗剤、建材、繊維などがあります。
即時型アレルギーではアレルゲンが体内に入ってから15分ほどで皮膚炎の症状が現れます。
また、症状をひきおこすアレルゲンは人によりそれぞれ異なります。
◆食べ物によるアレルギー反応
子供の場合は特に食べ物に対してアレルギー反応を起こす場合が少なくありません。
3大アレルゲンの卵、牛乳、大豆の他、米、小麦、そば粉、豚肉などがアレルゲンとなり、アトピー性皮膚炎を引き起こす原因になる事があります。
何の食べ物がアレルゲンになるかは、人によりそれぞれ異なります。
◆大気汚染、食品添加物
大人になってからアトピー性皮膚炎になる場合の原因のひとつに考えられています。
これは、大気汚染や食品添加物の摂取により、体内に老廃物がたまり、血液や体液が汚れ、もともと自分の体内で造れる副腎皮質ホルモンが造れなくなっているためと言われています。
◆遺伝
遺伝が原因でアトピー性皮膚炎になる場合があります。
特に皮膚の一番表面の角層に存在するセラミドという脂質が少ない場合、皮膚の乾燥とバリアー機能が正常に働かず、湿疹ができやすくなりますが、このような体質は遺伝する事がわかっています。
片親がアレルギー体質の場合、60~70%が、両親ともアレルギー体質の場合は、90%ほどの確率で遺伝すると言われます。
◆空気の乾燥
アトピー性皮膚炎は、空気が乾燥しやすい季節に発症したり悪化する傾向があります。
空気の乾燥は肌の乾燥につながり、かゆみを引き起こしたり、炎症を悪化させます。
◆ストレス
ストレスにより、湿疹ができている部位をかきむしってしまう場合があり、皮膚炎を悪化させる原因となります。
◆免疫グロブリンEが多い
血液中にアレルゲンと結合しやすい免疫グロブリンE(IgE)というたんぱく質が通常より多いと、アトピー性皮膚炎を発症することがあります。
免疫グロブリンE(IgE)抗体は、アレルゲンの侵入に対抗してつくられ、アレルゲンと反応して、免疫機構がアレルゲンを排除しやすくする働きをしています。アトピー性皮膚炎の患者さんのほとんどは、血液中に含まれるIgE抗体の総量が多くなっています。
アトピー性皮膚炎の治療法
本人はもとより、はたから見ているだけでもつらくなるアトピー性皮膚炎ですが、現在では様々な治療法や薬も開発されています。
また、自分でできる改善法などもありますので、あきらめずに実践してみましょう。
●ステロイド剤による治療
アトピー性皮膚炎の治療法としてまず考えられるのが、ステロイド剤による治療です。
ステロイドは体内でつくられる副腎皮質ホルモンの一種で、皮膚炎の症状には劇的な効果を発揮します。
一般的にステロイド剤は、皮膚に塗って使う外用薬として処方されますが、症状が全身におよび、重症な場合は短期間、内服薬として使われることもあります。
しかし、ステロイド剤は長期間、多量に使用すると副作用が現れる事は良く知られています。
そのため、ステロイド剤は炎症を抑える対症療法として使用し、湿疹に伴う強い痒みには、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤による内服療法を行うのが一般的です。
医師の指導の元に、ステロイド剤をコントロールしながら使用し、長期的には体質改善を行いアレルギー体質から脱却して行くのが理想です。
●内服薬による治療
かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬を使用し、かゆみを抑え、皮膚をかきむしって症状を悪化させないようにします。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬には、いくつかの種類がありますので、医師と相談し症状にあったものを処方してもらいます。
●漢方療法
漢方薬による治療がアトピー性皮膚炎に対して、効果をあげる場合があります。
特に大人の場合は、体質改善をすることにより、アレルギー体質を克服できる可能性があるので、東洋医学の漢方薬が有効と言えます。
アトピー性皮膚炎に使用される漢方薬には、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)・黄連解毒湯(おうれんげどくとう)・柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)・消風散(しょうふうさん)・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などがあります。
漢方療法を行う場合は、個人により処方が異なるので、医師または漢方の専門家に相談することをおすすめします。
●減感作療法
減感作療法とは、アレルゲンが特定できる場合、薄めたアレルゲンを長期間にわたって繰り返し皮下に注射し、抵抗力をつけていくという治療法です。
徐々にアレルゲンに対して反応を起こさなくなり、アトピー性皮膚炎の症状も消えて行きます。
●紫外線療法(PUVA療法)
紫外線療法(PUVA療法)とは、ソラレン(Psoralen)という光に対する感受性を高める物質を内服か塗布した後、長波長紫外線(UVA)を一定時間照射する方法です。紫外線照射によってアレルギー反応に関与する細胞の働きを抑制します。
この療法は通常の治療が困難な場合に行われる事がありますが、発癌性や白内障の可能性もある事から小児には行われません。
● 鍼灸・ツボ刺激療法
体質改善を目的として行われます。痒みによる不眠や足の冷え、イライラ感などに効果があると言われます。
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アトピー性皮膚炎の改善法
アトピー性皮膚炎を改善するコツは、あきらめずに地道な努力を続けて行くことです。
外用薬や内用薬の助けを借りつつ、普段から次のようなことを実践してみてください。
★アトピー性皮膚炎・改善のヒント
●除去食療法
ある特定の食物がアトピー性皮膚炎の原因または悪化要因となっている場合に、除去食療法は効果的です。
アレルゲンとなる食品を避けることにより、皮膚炎の発症を抑えます。
●食事療法
皮膚のダメージを回復させるためにも、栄養バランスを考えた食事をとるようにしましょう。
特にアトピー性皮膚炎の改善に良いとされる食品には、αリノレン酸を含むシソ油や海藻・大根、EPAを含むアジ・サバなどの青魚類やほうれん草・かぼちゃ・にんじんなどの緑黄色野菜があります。
このような食品を積極的に摂ることにより、皮膚炎の改善を早めることができます。
また、砂糖の多い菓子類やジュース類などは、かえって症状を悪化させる事もあるので、控えめにしましょう。
●無添加石鹸の使用
刺激の強い石鹸は過剰に皮脂を落としてしまうため、皮膚の炎症が治りにくくなります。
無添加の石鹸や低刺激性の石鹸を使用するようにしましょう。
●スキンケア
アトピー性皮膚炎は汗や汚れがかゆみを引き起こしたり、炎症を悪化させて症状を長引かせます。
薬で炎症が治まった時のスキンケアが最も大切です。患部を清潔にし、乾燥している場合は保湿剤などで水分を与え、逆にジクジクしている部分は乾燥させるようにしましょう。
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●患部を冷やす
アトピー性皮膚炎は、かゆみが出た場合にかきむしると悪化してしまいます。
どうしてもがまんできない場合は、患部にラップを当て、その上から冷たくしたオシボリや、布で包んだ保冷剤などを当てるようにしましょう。
●爪は短くしておく
かゆい時に爪でかきむしってしまうと、細菌に感染したりして症状が悪化し、治癒も長引いてしまいます。
特に睡眠中に無意識にかきむしってしまわないよう、爪は常に短く切っておきましょう。
●刺激の少ない衣類を選ぶ
肌に直接触れる下着や靴下、その他の衣類は化学繊維ではなく、なるべく刺激の少ない綿100パーセントの柔らかいものにしましょう。
肌への刺激を最小限にすることで、回復を早めることができます。
●入浴療法
入浴は皮膚についたハウスダストやダニの死骸を落とすことができるので、アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐのに効果的です。
(ただし、皮膚炎が悪化して医師に止められている場合は控えてください。)
体が温まるとかゆみが出やすいので、入浴時間は短めにするか、ゆっくりと入浴したい場合はぬるめの湯につかるようにしましょう。
また、肌が乾燥すると皮膚炎は悪化しがちなので、入浴後は皮膚に湿り気があるうちに患部に保湿剤を塗布するようにしましょう。
●海水浴療法
海水浴に行くと、皮膚炎の方は日焼けや海水の影響で一時的に悪化しますが、2~3日すると湿疹の症状が軽くなったり、時には治ってしまう事もあります。
これは塩分を含む海水によって皮膚が殺菌、洗浄され、アレルギー反応を抑制する紫外線の影響によるものとされています。
痛みがあるなど、重症の場合はおすすめできませんが、軽症なら海水浴で改善することもあります。
●室内の清掃と換気
ハウスダストやダニの死骸はアトピー性皮膚炎の代表的なアレルゲンです。
カーペットや畳はこまめに掃除機をかけてきれいにしておきましょう。ふとんや毛布の中にもダニはいるので、できれば毎日日光に当てて干すようにしましょう。
また、ダニは湿気の多いところを好むので、毎日窓を開けて、換気を良くしましょう。
●ウエットラッピング法
皮膚が炎症をおこしている時は、皮膚を守るバリア機能が壊れている状態なので、このままではダニや細菌がますますついてしまったり、かゆみが出たりします。
ウエットラッピング法とは、このバリア代用の膜を作る方法で、一部の病院で指導しています。
入浴後、肌がぬれているうちに患部に保湿剤をたっぷり塗り、その後、お湯でぬらした布やペーパータオルを当て、その上をラップでくるみ、2~3時間過ごすというものです。
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■ひとくちメモ
昨今、アトピー性皮膚炎にかかる子供や大人が増えています。
それは大気汚染や食品添加物の摂取などと決して無縁ではありません。
色々な治療法や改善法を行い、回復させるのはもちろんですが、私たちをとりまく環境をもう一度見つめなおす事も大切かもしれません。
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